スタッフNの本棚

  • 水を縫う 寺地はるな 著
    水を縫う 寺地はるな 著
    1,760円

    『家族』という期待と押しつけを踏み越えていこう!

     寺地はるなさんが描く家族はとても日常だ。どこの家族にも当てはまるやり取り。だから共感しやすい。

    私たちは、どこかで相手に『母親』とか『子供』とか『夫』とか役割を無意識に与えて期待している。

    期待通りでないと、腹が立つ。

    そして、いさかいを起こす。

     この作品は、家族として生きる前に『自分はどう生きるの?』と問いかけてくれる。その役割って実は思いこみなんじゃない?と。

     時々クスッと笑える優しい文章に、『寺地語録』が散りばめられた新しい『家族小説』をぜひ!

  • アーモンド ソン・ウォンピョン著
    アーモンド ソン・ウォンピョン著
    1,760円

    あなたは『失感情症』を知っていますか?

    本屋大賞翻訳小説部門 第1

    感情がわからない、感情を表現できない。そういう症状を『失感情症』というらしい。初めて本作を読んで知った。

    主人公の少年は周りから『怪物』と呼ばれながらも、友達ができることで成長していく。

    愛を知ることは、自ら傷つくことでもある。

    傷つくという感情を持てるのは、実はとても幸せなことなのかもしれない。

    他人への思いやりとは何か…

    改めて考え直すきっかけになった素晴らしい本です。
  • 【 火 定 】かじょう  澤田瞳子 著
    【 火 定 】かじょう  澤田瞳子 著
    1,980円

    天然痘を乗り越えた先に…

    今こそ読むべき壮大な物語



     歴史は偉大なテキストとも言えるのではないか。

    時は天平時代。

    天然痘が蔓延する中で、人はどう生き抜いたのか。

    医者や政治家はどう対応したのか。

    そして、その混乱時に乗じて欲を遂げようとする人々。

    未曾有のウイルスに脅かされている今、この『火定』から得られるものはとても多い。

    澤田瞳子さんの人を描く歴史小説を、令和のこの時だからこそ、読んでほしい。

  • 【2020年本屋大賞受賞作品】 流浪の月 凪良ゆう 著
    【2020年本屋大賞受賞作品】 流浪の月 凪良ゆう 著
    1,650円

    家に居場所がなかった主人公は、公園で男子大学生の文と出会う。

    ただ、主人公は探していた。自分の居場所を。それだけなのに、文は幼女誘拐犯として捕まってしまう。

    その後再会した2人はまた……

    最初から最後まで、著者のほとばしる筆力にただただ圧倒され、息継ぎができないまま読了。

    余韻が大き過ぎて、しばらく茫然自失。

    この世界観はどう説明したらいいのか。大学生と子供がいきなり一緒に住み始めた…と聞けば誰でも犯罪の匂いを嗅ぎとるだろう。本人たちがいかに説明したとしても、だ。

    恋でも愛でもない、家族とも違う。こんな関係を、小説という世界から覗けるとは!著者の凪良ゆうさんの、曖昧なままあえて結論を書かないフレーズが、読み手の心の奥の想像や欲望を駆り立てる。

    何度か作中に出てくる『事実と真実は違う』というフレーズが胸に刺さる。

    きっと真実は本人達にしかわからない。

    けれども、世の中はそれを許さない。

    善意という悪意(?!)2人を責め続ける。思わず、我が身を振り返る。

    この小説からは、ジャッジの不要さ、人間関係の多様さを教えてもらえた。

    日頃感じている違和感を、著者の自由な言葉の海が昇華してくれたように思う。

  • きみの存在を意識する  梨屋アリエ 著
    きみの存在を意識する  梨屋アリエ 著
    1,650円

    子どものSOSサインを見逃さないために、

             先生にお薦めします!


    学校で教える『みんな違って、みんないい』という言葉。

    では、子どもからそれはどういう意味?と聞かれた時、しっかり答えられる大人はどれだけいるのでしょうか。

    著者自身も、読み書きに困難がある障害『ディスレクシア』を持つ。

    周りと違うことに気づいた著者は、それを必死に隠そうします。なぜなら、『違う』ことが『悪い』ことだったから。友達や先生から受け入れられていないと気づいたから。

    本書では、他にも大人の期待に必死に応えようと頑張る子、匂いに敏感すぎて教室に入れなくなる子、女性にも男性にも分けられたくない子など、様々な周りと『違う』子どもが登場します。

    そして、そんな子ども達の気持ちをくみ取らない担任も。

    その担任の姿は、もしかしたら『目立たない』ことを強いる、周りと『違う』ことを認めようとしない私達大人の姿かもしれない。

    それはきっと知らないから。

    そういう存在を意識していないから。

    知らないことは、存在しないこと。

    気づかぬうちにあなたの目の前にいる子ども、隣にいる友人は存在しない事になっているかもしれない。

    この本を是非、現場で日々子ども達に接している先生方にも読んで欲しい。もちろん、先生方は既知の事だと思います。でも、子ども達の目線から『生きづらさ』が書かれている本はなかなか無いと思います。

    そして、可能であるなら子ども達と一緒にこの本を共有して欲しい。

    知ることは、相手を意識すること。

    相手を意識することは違いを認めることだということを。


  • ひとつむぎの手  知念実希人 著
    ひとつむぎの手  知念実希人 著
    1,540円

    知念実希人さんが書く小説は、その場に立っているかのような臨場感で迫ってくる。

    それもそのはず。

    知念実希人さんは、現役の内科医であり、今この時も外来診療を続けているのである。

    そして、今一番熱い(とスタッフNは確信している)ミステリー作家なのである。この作品を含めて、3作品3年連続本屋大賞ノミネートしている。

    作家としての手腕も疑うところがない。

    この作品はミステリーが主軸ではあるが、ヒューマンドラマにかなり寄っている。ミステリーは怖くて読めない、そんな方にもおすすめできる作品になっている。

    大学病院で渦巻く、嫉妬や欲望、そして絶望。リアルな医師同士のやり取りにやきもきして思わずため息が出る。

    主人公の元に研修医が3人来るのだが、上手く交流ができず自己嫌悪に陥るシーンなどは、部下を持つ会社や組織で働く人達の共感を得られるはず。

    そして、病院という世界を垣間見ることで、今この瞬間にも命を救おうと懸命に働いてるたくさんの『手』を想像することができる。

    人の命とは、生きるとは、こんなに尊い。

    読了後、再度タイトルを振り返った時に込み上げるものが必ずあるはず。

    本であまり泣かないスタッフNも視界が滲んだ。

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(カテゴリー内 : 6点)

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